2020年のNCAA トーナメントで注目した1戦が、ロヨラシカゴ大学対イリノイ大学の一戦でした。
この試合、ロヨラシカゴがイリノイ大学を71-58で破り完勝する結果となりました。
イリノイ大学は決して弱いチームではありませんが、内容を見れば明らかロヨラシカゴの圧勝。
特にロヨラシカゴのZoom actionについて深ぼっていきます。
Zoom action 概要
Zoom=pin down screen+DHO(HO)
基本的にこのアクションは、オフボール中にズレを作りGapを作り出した状態でボールを保持してオフェンスをスタートさせる狙いがあります。
効果的に決まった要因は?
なぜZoomが効果的に決まったのか、自分なりの分析をしていきます。
分析して出した主な要因
- ロヨラシカゴのセンター#25が1on1スキルとIQが高い
- セカンドスクリーナーのギリギリの寄り
- ロヨラシカゴのガード#4がシュート力が高い
大きくこの3つがZoomアクションを効果的に決めるには、必要な要素だと考えます。
ロヨラシカゴ#25のスキルとIQ
#25はポストアップ時のフットワークと決定力、back downからの1on1、IQとセンターとしてはかなり完成度の高い選手です。
外角のシュートはないものの相手DEFは#25のインサイドを警戒してDropを選択することになります。
ボールを保持することができ、チームメイトの動きを的確に把握する能力は大学生では群を抜いています。
IQの部分には、いろいろな定義がありますが、僕が注目したポイントは次の部分です。
#25はDHO後に、少し早めにDiveを試みます。そうすることによって何が起こるのか?
Zoomを行う際のDHO時は、ほぼpick&rollと同じような状況です。
そこで、相手DEFをChase+Dropの状況に持ち込めた場合、2対1の状況に持ち込むことができアドバンテージが取れます。
DHOの際センターがchaseしてきた相手DEFに体をヒットさせてGapを作る方法が一般的でしょうか
しかし、#25はヒットするのではなく早めのDiveを行います。
早めのDiveをすることで、相手のガードDEFを強制的にアンダーを通らせずChaseさせることができます。
その後、すでにballを受けた選手がドリブルをスタートした際には、ペイントエリアに入った#25がいるので、2対1ができやすい状況という仕組みです。
セカンドスクリーナーのギリギリの寄り
#25とball handlerの2on1シチュエーションを作り出すには、
- 相手DEFをChase+Dropに持ち込む
- DHOより前に、スクリーンユーザーとDEFのズレを作り出す
1の部分は#25が早めのDiveを行うことで、アンダーをさせず強制的にChaseをさせるます。
しかし、そもそもDHOを行うガードのDEFを引き剥がせないことには、DHOすら行えません。
そこで重要なのが、2の部分の役割を担うセカンドスクリーナーになるわけです。
この映像から、ロヨラシカゴのセカンドスクリーナーはブラッシングをするギリギリまで、相手DEFの進路にできるだけ入ろうと動いています。
ムービングになるかならないかギリギリを狙うことになりますが、ここでズレを作り出すことが非常に重要というわけです。
DHOをするガードのDEFをChaseさせるには
そして、最後にDHOをするDEFをChaseさせる必要があります。
先ほどから言っているように、この Zoomを効果的にするにはchase+dropの構図にさせること
しかし、DEFがunder+under+underなんてしようものなら、ロヨラのZoomは効力を発揮しないのです
そこで、最後に重要なのは「誰にDHOのボールを受け取るハンドラーをさせるか」です
ロヨラは#4が優れたシュート力を持っており、彼にできるだけDHOハンドラーをさせます。
イリノイ大学としても、#4の3ptを簡単に打たせまいとできるだけボールを持たせないように対策をしていました。
結果的にこうしたイリノイ大学の対策が、ロヨラシカゴのZoomをより効果的にさせてしました。
まとめ
ロヨラシカゴにとってZoomは、#25のIQとガードフォワード陣のシュート力がうまくマッチした戦術になりました。
こうした、戦術と選手の組み合わせを見つけ出すことは非常に難しいものになります。
しかし、マッチした瞬間の効果はかなり強大なもので、強豪のイリノイ大学撃破にもつながったわけです。
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